ふう、と息を吐き、思ったよりも眠るミヅハの顔が近いことに照れつつ、その端整な顔を観察する。
長い睫毛とすっきり通った鼻筋。
普段は美しくキリリとした顔も寝顔はどこかあどけなく、幼い日のミヅハを思い出させる。
……私たちの間に結婚話が持ち上がるなんて、あの頃は想像もしていなかった。
もちろんミズハに好意を寄せていたけれど、結婚というものを想像するにはまだまだ幼かったのだ。
ミヅハと結婚したら、毎晩同じ部屋に布団を並べてこうして近くで眠るのだろうか。
想像して、頬がじわりと熱を持つ。
ダメだ。今羞恥心に振り回されたらうっかり眠れなくなってしまう。
そうなれば、あっという間にHPを削られ、明日の朝陽を瀕死の状態で拝まなければならない。
別のことを考え、もうさっさと寝てしまおうと瞼を閉じたところで、さきほど見ていた夢の内容を思い出した。
幼馴染からもらったという薬で河童を助けていた”私”。
『あの時、怪我をして動けなかったオレを助けてくれて、ほんっっっとうに感謝してる』
数時間前に聞いたカンちゃんの言葉が残っていたのだろうが、すぐ夢に見るなど影響受けすぎではないか。
自分の想像力に呆れつつも、最近は私ではない”私”から見る不思議な夢ばかり見ている気がして、それがめまいを起こした日からだということに気付いた。
あの日、母様まで倒れたことを鑑みれば、もしかしたら夢を見るのには何か理由があるのではと思い至る。
それに、毎回”彼”の存在があることも気にかかる。