「人は人で治癒の効果を補助する絆創膏を開発して販売しているだろ」
「そうなんだけどね。でも改めて考えてみると、種族の違いによって身体的に通用しないものがあるのって不便よね。というよりも、種族が違うこと自体が不便というか」
「まあ、確かにそうだが、それは言っても仕方のないことだ」
「もちろんわかってるよ。ただ、神様とあやかしたちの間で交流があるみたいに、人も同じであればまた違う今があったのかなと思うと寂しいというか……」

 しかしこの考えは、自分が中途半端な立ち位置にいるからこそ生まれるものなのかもしれない。

 神、あやかしと人の間には目に見えない隔たりがあり、それを越えてどちらの世界にも立てている私は、どうしても不便さを感じることがある。
 神やあやかしであれば、天のいわ屋へ内宮の御手洗場から渡れるけれど、私は人である故に、普段は人目につかないよう森に囲まれた宇治神社の方から入るように気をつけているし、この絆創膏のように、人には効果がないからと、人用のものを別に用意しないとならないことも多々あった。

 慣れれば苦ではないけれど、やはり不便は不便。
 なので、現世のものも用意しているおおいち堂は、私にとって非常にありがたいお店なのだ。