「な、そ、そっちこそ、私との婚姻なんていやなんじゃないの?」
「なぜそう思うんだ」
「なぜって……そっけないし、なんとなく、避けられてるなと思う時もあるし」

 本人に対して思っていたことを正直に告げたのは初めてだった。
 しかし、結婚するとなればやはり解決はしておきたいので、文句を言っているようで悪いなと思いながらも、返答を待つ。

 きっと、自覚はあるのだろう。
 ミヅハの視線が、少しばつが悪そうに私から逃げ出した。
 そうして、ぽつり。

「……その方が、いつきにとっても、俺にとってもいいと思っていた」

 ミヅハが吐露したのは、曖昧で納得のいかない答え。
 どんな理由があり、そっけなく突き離したり、避けたりした方が互いの為になるのか。
 今のところ、ミヅハのそっけなさのおかげで私にいいことがあった等の覚えはない。
 避けてくれていなければ、危うく大怪我をするところだったというような危機一髪展開にも巡り合ってはいない。
 しかし、何もないと感じているのは自分だけで、もしかしたら彼にはいい効果が出ているのだろうかと首を捻る私に、ミヅハの戸惑いがちな視線が戻ってくる。

「傷つけて悪かった」
「傷ついていたわけじゃないの。ただ、寂しいなって、思ってた」