──おはらい町は内宮へと続く参道で、中央のおかげ横丁と合わせて両側にたくさんの店が軒を連ねている。
風情あるレトロな雰囲気の町並みは大勢の人が行き交い賑やかだ。
「どうしよう? とりあえずおかげ横丁のキャンドルショップへ行ってみる?」
「そうだな。もしくは神大市比売の店に行くか」
答えながら庭園に使えそうなアイテムはないかと、連なる店に目を走らせるミヅハ。
すれ違う女性たちの多くが、ミヅハを見てほんのりと頬を赤く染めたり、連れの女性同士で興奮しつつひそひそと会話するこの光景を見るのは、今年でもう何百回目だろうか。
ミヅハの優れた容姿は、当然多くの人目を惹き付けるほど魅力的だ。
目立たぬように、人々に溶け込むようにとミヅハなりに気を使って洋装にしたところで、その美貌と滲み出るオーラまでは隠せない。
一度、帽子とサングラスを装着して歩いてみたこともあったけれど、芸能人かモデルがお忍びで来ていると勘違いされていたのを思い出しながら「神大市比売様のところも使えそうなものがありそうだね」と返した。