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私を呼ぶ声が聞こえた気がして目を覚ます。
「……ミヅ、ハ?」
声に出してみても返事は聞こえず、気のせいだったのかもしれないと体を起こした。
御帳台から出ると、外は真っ暗だ。
「そうか……私、倒れたんだ」
ミヅハに勾玉の話をしようとして、急に意識が遠のいた。
さくちゃんのことは伝えられたはずだけど、どうなっているのか。
そっと部屋の様子を伺うと、女官がひとり、うつらうつらと頭を揺らして眠っている。
見張りを任されたのだろうが、限界がきてしまったのだろう。
逃げたりはしないから、横になってほしいゆっくり寝かせてあげたい。
声をかけようかと迷っていた最中、庭にあやかしの気配を感じ視線をやると、大猫の姿のままで大角さんが現れた。
「千枷っ……」
「大角? そんなに慌ててどうしたの?」
千枷の口調を意識しながら話しかけると、大角さんは息を切らしながら前足にきつく巻いた布から手紙を咥え取る。
「これを……龍芳から預かった」
「龍芳から……?」
龍芳からの手紙を、意識が私の時に開いていいものかと戸惑う。
不思議なことに、私がしたことを千枷は自分の行動として記憶に残しているが、それでも最初に見るべきは千枷なのではと悩んでいれば、大角さんが「読まないのか?」と首を傾げた。
終わりの時はいつなのか。
もしも時間がないとしたら、読んでおいたほうがいいのかもしれないと、私は申し訳なく思いつつも意を決して手紙を開く。