「それは確かめられるの?」
「あやかしとならずに死したのなら、黄泉の国の記録書に名が記される。死者は皆黄泉の国へ向かうからな。だが、黄泉の国へは簡単には入れないし、記録書を見るとなれば手続きが必要で、時間もかかると天照様は言っていた」
「そうなんだ……」
黄泉の国に入り、記録書を見る為の手続きにはどれほど時間を要するのか。
呪詛だけでなく寿命のこともある今、あやかし化を確認してから動いては手遅れになるかもしれない。
ならば、手続きはしておきつつ、自分たちでもできることを進めていくのがベストだろうと考えていると、ミヅハが再び口を開いた。
「ただ、あやかしとなっている場合、今までいつきの前に現れていないことが不思議だ」
「私が転生したことに気付いてないからじゃなくて?」
「ありえなくはないが……千年も前から生きているあやかしとなると力もあるだろう。なら、呪詛が発動した時点でいつきが転生していると勘付けるはずだ」
言われて得心する。
前世の私に執着し、千年経って転生してもなお呪詛で縛るようなストーカーだ。
呪詛の気配を辿り、すでに何らかのアクションを起こしていても不思議ではない。
だが、今のところ特に変わった様子は……
あったかも、しれない。
さくちゃんと会って別れた後、誰かに呼ばれた気がしたことがあった。
でも、それが千年ストーカーのものとは限らない。
むしろ千年ストーカーであれば、名を呼ぶだけではすまないだろう。
勝手なイメージだけれど、呼び続けておびき寄せるくらいはしそうだ。
ミヅハに余計な心配をかけたくないので、特に報告はしないでおくことにした私は、思い浮かんだもうひとつのケースを口にする。
「じゃあ、あやかしになったけど、私が転生する前に死んでしまったパターンは?」
「それもありえなくはないな……」