瞠目した皆の視線が私に注がれる中、夕星さんが謝る。

「皆の前で明かしてすまない。けれど、水臭いじゃないか。僕らは家族みたいなものだろう」
「そうよ! 一体どういうことなの。いつきちゃんの寿命とか、呪詛とか」

 夕星さんの肩を押し退けるようにして朝霧さんが顔を覗かせた。

「ごめんなさい。黙っていたわけじゃないの。色々あって、私も昨夜聞かされたばかりで」

 夕星さんと朝霧さんだけでなく、テーブル席のカンちゃんと大角さんにも視線を送る。

 そう、確かに意図的に黙っていたわけじゃない。
 母様たちに話すなと口止めをされてもいない。
 けれど、心優しい皆に心配をかけたくないという気持ちがあった。
 でも、何度も倒れ、すでに何度も心配をかけてしまっているのだ。
 やはりきちんと説明するべきだろう。

「せっかくの休憩中に暗い話になって申し訳なんだけど、実は──」

 そうして私は、昨夜聞かされた内容を皆に打ち明けた。
 母様が命を砕いて欠片を与えてくれたおかげで、今、私が生きていること。
 しかし、前世の私に植え付けられた呪詛が原因で、二十歳を迎えることはできないのだと。
 その対応策として、急遽ミヅハと婚姻を結び、寿命の問題をクリアするはずだった。
 だが、その矢先、母様が一度は鎮めた呪詛がここにきて再び発動し、ミヅハを弾いて私に近寄らせなくなった……と。
 話し終えると、カンちゃんがバンダナを被った頭を抱える。

「待て待て待ってくれよ。情報多すぎだが、つまりなんだ。姫さんの魂に植え付けられた呪詛のせいで、死にそうだし若旦那と結婚もできないと」
「そうなの。前世の私がどうしてそんなものをもらう羽目になったのかは詳しく知らないんだど」

 箸を手にしたまま答えた私に、大角さんが真剣な眼差しを向け腕を組んだ。