『お願いだ。やっと会えたんだ……いつきを助けてあげられる方法があれば教えてよ!』
『いつき……いつき……今度こそ、助けてやるから』
神様として年若いミヅハが、やっと会えた私を、今度こそ助ける。
その意味は。
「俺は……斎王となって悲しむお前を救うことができなかった……」
そこまで話して、ミヅハは難しい顔をすると口を噤んでしまった。
「ミヅハ?」
俯く横顔に遠慮がちに声をかけると、ミヅハの瞳が再び私を捉える。
しかしその視線はどこか迷うように揺れ、やがてぽつりと言葉の続きを紡いだ。
「情けない、幼馴染だ」
「幼馴染……」
声に落としてなるほどと納得する。
ミヅハも私と同じく転生していたのだ。
そして、前世でも幼馴染という関係であったなら、確かに詳しくて当然だ。
「そっか。だから、色々と前世の私のことを知ってるのね」
きっと、困っていた前世の私を助けようとしてくれたのだろう。
けれど叶わず、転生し、事故に遭った私を今度こそと必死になって助けようとしてくれたのだ。
「ありがとう、ミヅハ」
千年経っても変わらない優しさに感謝を伝えるも、ミヅハはまた俯いてしまう。
何やら先ほどから様子がおかしい。
もしかして、ミヅハの過去に触れてはいけなかったのだろうか。
「ミヅハ? 話したくないことだった?」
そうであったなら申し訳ないと、無神経に訊ねてしまったことを謝ろうとしたのだが、ミヅハは顔を上げ、緩やかに首を左右に振ると微笑んだ。
「……いや、そうじゃない。気にするな。それより、あまり前世の話をしては、どこで呪詛を刺激するかわからない。今夜はここまでにして、呪詛をどう祓うかはまた明日考えるぞ」
そう言って、話は終わりだと告げるようにミヅハは腰を上げた。