青い衣の男は、「青という名前だった。青い衣に青という名前だなんて都合よすぎる気がしたけれど、詮索しても仕方ない。
「青さん、主様に会わせていただくことはできませんか? いくつかお聞きしたいことがあって」
「いいだろう。ついてきなさい」
案内されるまま、私は城の中を歩いていった。
「ひぇ、窓から雲がすぐそこに。地面が全く見えない! 本当に空に浮かんでいるのですか、この城は!」
「だから天空城だと言っているだろう。いちいち騒がしいぞ」
「なぜ浮かんでいるのですか?」
「龍神の神力だ」
さも当然と言わんばかりにさらりと答えてくれたが、何をどう信じていいのかわからない。天空城は驚くほど広大で、案内がなければ私には歩くことさえままならないだろう。
「着いたぞ。この奥の離れ屋にいらっしゃる」
どれだけ歩いたかわからない先に、中庭を挟んだ離れ屋があった。その中庭に、誰かが寂しげに佇んでいる。その髪は黄金色で、肌は透けるように白い。
「主様、人間の料理人を連れて参りました」
主様と呼ばれた人は、ゆっくりと振り向いた。近くで見る主様は、青い目をもった神秘的な美女で、この国の人とは思えないほど美しかった。
「まぁ。女人の料理人なのね。それは楽しみだわ」
「わたくしは鈴珠と申します。どうかお見知りおきを」
「元気そうな方ね」
「あの体調を崩されているとお伺いしましたが、どこか具合が悪いのですか?」
「体がとても冷えるの。そのせいかお腹の調子まで悪いし。青たちが豪勢な食事で私をもてなしてくれるけど、胃にもたれて食べられないの」
「なるほど……」
美しい主様は、天空の城に溶け込んでしまいそうなほど、存在感がなかった。それだけきっと調子が悪いのだ。
「青さん、私が頼んだものをすぐに用意してくれますか?」
「どんなものでも用意してやろう」
相手が誰であろうと、美味しいと思ってもらえる料理を提供したい。料理人としての思いに火がついた瞬間だった。
「青さん、主様に会わせていただくことはできませんか? いくつかお聞きしたいことがあって」
「いいだろう。ついてきなさい」
案内されるまま、私は城の中を歩いていった。
「ひぇ、窓から雲がすぐそこに。地面が全く見えない! 本当に空に浮かんでいるのですか、この城は!」
「だから天空城だと言っているだろう。いちいち騒がしいぞ」
「なぜ浮かんでいるのですか?」
「龍神の神力だ」
さも当然と言わんばかりにさらりと答えてくれたが、何をどう信じていいのかわからない。天空城は驚くほど広大で、案内がなければ私には歩くことさえままならないだろう。
「着いたぞ。この奥の離れ屋にいらっしゃる」
どれだけ歩いたかわからない先に、中庭を挟んだ離れ屋があった。その中庭に、誰かが寂しげに佇んでいる。その髪は黄金色で、肌は透けるように白い。
「主様、人間の料理人を連れて参りました」
主様と呼ばれた人は、ゆっくりと振り向いた。近くで見る主様は、青い目をもった神秘的な美女で、この国の人とは思えないほど美しかった。
「まぁ。女人の料理人なのね。それは楽しみだわ」
「わたくしは鈴珠と申します。どうかお見知りおきを」
「元気そうな方ね」
「あの体調を崩されているとお伺いしましたが、どこか具合が悪いのですか?」
「体がとても冷えるの。そのせいかお腹の調子まで悪いし。青たちが豪勢な食事で私をもてなしてくれるけど、胃にもたれて食べられないの」
「なるほど……」
美しい主様は、天空の城に溶け込んでしまいそうなほど、存在感がなかった。それだけきっと調子が悪いのだ。
「青さん、私が頼んだものをすぐに用意してくれますか?」
「どんなものでも用意してやろう」
相手が誰であろうと、美味しいと思ってもらえる料理を提供したい。料理人としての思いに火がついた瞬間だった。