先に蓮が出て、それに続こうとした雪香は最後に悲しそうな顔で振り返った。
「沙雪が私を受け入れくれないのは仕方ないのかもしれない……でも蓮は何も悪くないでしょ? 全てを拒絶しないで、沙雪がいくら強くても一人じゃ生きてはいけないんだよ」
心配そうな表情はとても演技とは思えなかったけれど、その言動は私の神経を逆撫でした。
「私に偉そうなこと言う前に直樹に償ったらどう? どれだけ恥をかかせたか分かってるの? それから緑川家の人達にも!」
一気にまくし立てると、私は雪香を玄関から押し出してドアを閉めた。
鍵をかけ、ロックをするとフラフラと部屋の奥に戻った。最後に雪香に言われた言葉が、胸に突き刺さっていた。
怒りや悔しさ、沢山の感情が湧き上がって来て苦しくて仕方なかった。
雪香に言われなくたって分かっている。
私は一人で生きていける程強くない。
今だって、蓮が雪香と行ってしまった事が悲しくて仕方ない。
本当は行かないで欲しかった。でも、素直に本心を言えなかった。
蓮は何があっても雪香の味方だと分かっているのに、弱いところを見せられない。
もっと広い心で雪香を許せば良かったのだろうか。
そうすれば一蓮に冷たい目を向けられる事も無かったし、今孤独を感じていなかったはず。
だけど……たとえ一人にならなかったとしても、胸の痛みはきっと無くならない。
私は蓮に、雪香より大切にしてもらいたかったのだから。
ずっと心の底ではそう願っていたのだと、今頃になって気が付いた。
雪香と蓮と決別してから、三日が過ぎていた。
私にとっては、とても苦しい日々だった。
仕事をしていても、頭の中には雪香と蓮が去って行く姿が思い浮かんで憂鬱な気持ちに陥る。
そんな中ミドリから連絡が入り、久しぶりに会う約束をした。
ミドリは忙しい中、状況を報告する為に私の昼休みに時間を合わせてやって来た。
待ち合わせの店には既に彼が居て、ぼんやりとした様子で端のテーブルに座っていた。
「お待たせ」
対面に座りながら声をかけると、ミドリは疲れたような顔を向けて来た。
「久しぶりだね」
「そうだね……そういえばこの前会ったのもこの店だったね」
それ程時間は経ってないけれど、ひどく懐かしい気持ちになった。
そういえばあの時、ミドリに言われたんだった。
蓮に深入りするな、頼り過ぎるなと。
「沙雪が私を受け入れくれないのは仕方ないのかもしれない……でも蓮は何も悪くないでしょ? 全てを拒絶しないで、沙雪がいくら強くても一人じゃ生きてはいけないんだよ」
心配そうな表情はとても演技とは思えなかったけれど、その言動は私の神経を逆撫でした。
「私に偉そうなこと言う前に直樹に償ったらどう? どれだけ恥をかかせたか分かってるの? それから緑川家の人達にも!」
一気にまくし立てると、私は雪香を玄関から押し出してドアを閉めた。
鍵をかけ、ロックをするとフラフラと部屋の奥に戻った。最後に雪香に言われた言葉が、胸に突き刺さっていた。
怒りや悔しさ、沢山の感情が湧き上がって来て苦しくて仕方なかった。
雪香に言われなくたって分かっている。
私は一人で生きていける程強くない。
今だって、蓮が雪香と行ってしまった事が悲しくて仕方ない。
本当は行かないで欲しかった。でも、素直に本心を言えなかった。
蓮は何があっても雪香の味方だと分かっているのに、弱いところを見せられない。
もっと広い心で雪香を許せば良かったのだろうか。
そうすれば一蓮に冷たい目を向けられる事も無かったし、今孤独を感じていなかったはず。
だけど……たとえ一人にならなかったとしても、胸の痛みはきっと無くならない。
私は蓮に、雪香より大切にしてもらいたかったのだから。
ずっと心の底ではそう願っていたのだと、今頃になって気が付いた。
雪香と蓮と決別してから、三日が過ぎていた。
私にとっては、とても苦しい日々だった。
仕事をしていても、頭の中には雪香と蓮が去って行く姿が思い浮かんで憂鬱な気持ちに陥る。
そんな中ミドリから連絡が入り、久しぶりに会う約束をした。
ミドリは忙しい中、状況を報告する為に私の昼休みに時間を合わせてやって来た。
待ち合わせの店には既に彼が居て、ぼんやりとした様子で端のテーブルに座っていた。
「お待たせ」
対面に座りながら声をかけると、ミドリは疲れたような顔を向けて来た。
「久しぶりだね」
「そうだね……そういえばこの前会ったのもこの店だったね」
それ程時間は経ってないけれど、ひどく懐かしい気持ちになった。
そういえばあの時、ミドリに言われたんだった。
蓮に深入りするな、頼り過ぎるなと。