私は蓮から目をそらし溜め息をついた。
「そう思うなら、雪香が戻って来たら付き合い方を変えればいいんじゃない? 私に言う必要無いから」
早く部屋に帰りたい私は、小さな声でそう言い、蓮の横を通り過ぎようとした。けれど蓮の腕が伸びて来て、私の動きを止めた。
「沙雪、待て!」
蓮の腕の力は強くて身動きがとれなくなったけど、海藤に対して感じたような嫌悪や恐怖はない。
「離してくれる?……疲れてるから部屋に帰りたいの」
「そういえば、今日は大人しいな……何か有ったのか?」
「別に。とにかく離して」
心も体も、疲れ切っている。人と話す暇が有ったら休みたい。もう会わないと決めた相手だから余計に。
蓮は私の態度が不満のようで、顔をしかめた。
「お前、その秘密主義何とかしろよ。人が心配してるのに、何だよその態度」
勝手に押しかけて来て怒りだした蓮に、私もイライラとして言い返す。
「あなたに話したって意味無いから。それに心配なのは私じゃ無いでしょ? 雪香を見つけたいんだろうけど、私に付きまとっても雪香は絶対に見つからないから!」
私のヒステリックな声に、蓮は一瞬驚いたようだった。
「……お前、何でいつもそんなに喧嘩腰なんだ? 俺はお前の敵かよ?」
「鷺森蓮が雪香の味方なのは分かってる。そんな人に私は絶対に心許せない……だって私は今、雪香をどうしようもないくらい憎んでる。許せないと思ってる……雪香も鷺森蓮も私から見たら敵だから」
私の苛立ちは益々強くなり、更に感情的に大声を上げた。
「お前……どうしたんだよ?」
蓮は驚愕して私を見た。
「別に、ただイライラするだけ! 雪香に腹が立つだけ! 迷惑かけられてもううんざりなの!」
蓄積されて来た雪香への怒りが、ここに来て爆発した。
八つ当たりだと分かってるのに、どうしても止められない。
「迷惑って、何か有ったのか?」
「話さないって言ってるでしょ?!」
しつこい蓮の腕を振りほどこうとしたけれど、上手くいない。悔しさと苛立ちで泣きたくなる。
「困ってることが有るならちゃんと言えよ。お前いつも人の助けなんていらないって態度だけど、そんな錯乱する位なら意地張ってないで頼れよ」
諭すような蓮の言葉に、私の中で何かが切れたような気がした。
「そう思うなら、雪香が戻って来たら付き合い方を変えればいいんじゃない? 私に言う必要無いから」
早く部屋に帰りたい私は、小さな声でそう言い、蓮の横を通り過ぎようとした。けれど蓮の腕が伸びて来て、私の動きを止めた。
「沙雪、待て!」
蓮の腕の力は強くて身動きがとれなくなったけど、海藤に対して感じたような嫌悪や恐怖はない。
「離してくれる?……疲れてるから部屋に帰りたいの」
「そういえば、今日は大人しいな……何か有ったのか?」
「別に。とにかく離して」
心も体も、疲れ切っている。人と話す暇が有ったら休みたい。もう会わないと決めた相手だから余計に。
蓮は私の態度が不満のようで、顔をしかめた。
「お前、その秘密主義何とかしろよ。人が心配してるのに、何だよその態度」
勝手に押しかけて来て怒りだした蓮に、私もイライラとして言い返す。
「あなたに話したって意味無いから。それに心配なのは私じゃ無いでしょ? 雪香を見つけたいんだろうけど、私に付きまとっても雪香は絶対に見つからないから!」
私のヒステリックな声に、蓮は一瞬驚いたようだった。
「……お前、何でいつもそんなに喧嘩腰なんだ? 俺はお前の敵かよ?」
「鷺森蓮が雪香の味方なのは分かってる。そんな人に私は絶対に心許せない……だって私は今、雪香をどうしようもないくらい憎んでる。許せないと思ってる……雪香も鷺森蓮も私から見たら敵だから」
私の苛立ちは益々強くなり、更に感情的に大声を上げた。
「お前……どうしたんだよ?」
蓮は驚愕して私を見た。
「別に、ただイライラするだけ! 雪香に腹が立つだけ! 迷惑かけられてもううんざりなの!」
蓄積されて来た雪香への怒りが、ここに来て爆発した。
八つ当たりだと分かってるのに、どうしても止められない。
「迷惑って、何か有ったのか?」
「話さないって言ってるでしょ?!」
しつこい蓮の腕を振りほどこうとしたけれど、上手くいない。悔しさと苛立ちで泣きたくなる。
「困ってることが有るならちゃんと言えよ。お前いつも人の助けなんていらないって態度だけど、そんな錯乱する位なら意地張ってないで頼れよ」
諭すような蓮の言葉に、私の中で何かが切れたような気がした。