その様子から、やっぱり私の想像していた通りなんだと確信した。

「雪香は本当に滅茶苦茶で酷い行動をしたよ。感情のまま動いて筋も通って無い」

 淡々と言うと、雪香は傷付いたような顔をした。

「自分でも分かってる……考えが足りなくて、迷惑かけてごめんなさい」
「もう謝らないでいいから、何度聞いても気持ちは変わらないから」
「沙雪……」
「雪香は無意識にかもしれないけど、私には何をしても許されると思ったんだよ。最後はまた元に戻れると思ってたんでしょ?」

 図星のようで、雪香は気まずそうな顔をした。
 雪香の考えなしな行動は、私が相手だということも有ったのだろう。
 私と本当に縁が切れる訳は無いという甘えがあった。

 馴染みが薄くても私達は双子で、誰よりも濃く繋がってるんだから。
 そして私も……怒って拒絶しながらも、雪香との別れを自覚出来ていなかった。

「雪香……私達ずっと離れてたからお互いを何も分かって無かったね」

 そう言うと、雪香は恐る恐る俯いていた顔を上げた。

「再会した時、雪香は私を羨ましく思ったって言ってたでしょ? でもあの時私も嫉妬してたんだよ。雪香は華やかで、優雅な身のこなしで私とは全然違うと思った。そんな風に差がついてしまったのを悲しく感じた」

 雪香は驚愕したように目を瞠る。

「劣等感で雪香とは会いたくなくなった……そうやって遠ざけてたせいで雪香と直樹の関係に気付かなかったんだけど」

 直樹の名前を出すと、雪香はビクッと反応して頭を下げた。

「ごめんなさい……」
「もう謝らなくていいって言ったでしょ? それより私が言いたいのは、その時私が雪香から逃げなければ……二人の裏切りを知った時に、ちゃんと気持ちを言っていたら違った結果になっていたかもしれないってこと」
「……」
「私達強い繋がりが有ると思いながら、本心を隠していた。今頃やっとお互い本音を出したよね?」
「これからはちゃんと話すから……黙っててごめんなさい」

 雪香は泣きそうな顔で縋るように言う。でも私は首を振って否定した。

「無理だよ、私はまだ雪香と向き合えない。わだかまりを消せないから、このままじゃまた同じことを繰り返すかもしれない」

 それに私達は離れた方がお互いの為だ。怒りを捨てて冷静に考えてもそう思う。
 雪香は一人で立てるようになる必要が有るし、私も……また傷付くのを恐れていつまでも人を遠ざけたりしたくない。