獏だった僕は、ある少女の悪夢を食べ続けていたが、ある日突然、人間になってしまう。
 だが、人間界はストレスが多く、獏だったにもかかわらず僕は睡眠障害に陥る。それを救ってくれたのは、医師の臨月天光という女性だった。
 女神のような彼女に心惹かれるが、二人の関係は全く進展しなかった。
 が、彼女の医師としての姿勢に完敗した僕が、獏だったことや少女のことを話してしまったことで事態は急展開を迎える。

 彼女は『少女が好きだった』と自覚した僕に、『その少女は自分で、その頃から好きだった』と告白する。それを聞き、さらなる記憶が蘇る。

 獏になる前、自分が人間で勝ち組だったと。
 だが、突然、奈落の底に堕とされ、その時、自分の奥さんに酷い仕打ちしたということを。だから、獏になったのだと……悟る。
 そして、全てを思い出した僕は、なぜ人間に戻ったのかその理由を知り、永遠に獏でいることを誓う。