「付喪神にでも会ったかな」
「…………。なんでそう思うんですか?」
「だって、いる気配がするから」
真斗さんは肩を竦めて苦笑する。
私には感じないけれど、真斗さんは付喪神様がいるだけでなんとなくわかるらしい。
「実は、それらしき子に会いました」
「オレモアッタ」とフィリップが補足する。
「やっぱり。これかな?」
真斗さんは最後の査定品である、私が眺めていた真珠のネックレスをケースごと手に取った。
「真珠か……」
ぼそりと呟くと箱の上蓋の文字を見てからネックレスを手に取り、ケースをテーブルに置く。途中に嵌っている『M』のエンブレムを確認し、次に目を細めるように留め具の金具を見た。
刻印されている文字を読もうとしているのだろう。
「真珠ってさ、中古市場だと価値が落ちやすい宝石なんだよね」
「そうなんですか?」
「うん。殆ど値段がつかないことも多い」