付喪神様は、使用している期間が長ければ長いほど、そして、思い入れが強ければ強いほど、成長するという。ならば、こんなにしっかりと育った付喪神様の宿るこのパールネックレスの持ち主の土屋さんの奥様(?)は、このネックレスをとても大事にしているはずなのだ。

「ミキちゃんは、売られて嫌じゃないの? 大事にされていたんでしょ?」

 ミキちゃんは不思議そうに私を見返すと、「うん、大事にしてもらっていたよ」と笑う。

「どんなに大事にされていたか、お姉ちゃんにだけ、見せてあげる」

 そう言って手を引かれた瞬間、周囲がぐにゃりと歪むのを感じた。

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