「……けど、汐里がつい先日、凄い高価な鞄を貰ってきてさ。これはもう太刀打ちできないって思った。だから、指輪を買ってけじめをつけて、汐里には仕事を辞めてもらおうと──」
「指輪を買って、けじめをつける?」

 私は意図を確認するように、淳一さんの言葉を聞き返す。
 それはつまり──。