「あら、どうしてそんなふうにお思いになるの?」
「そ、それは……っ。というか、美しく光り輝いているのは傘姫様のほうで、私よりも何百倍も傘姫様のほうが八雲さんにはお似合いだと思いますし……。だから、八雲さんが私を可愛いとか思ったりは絶対にあり得ない話で……」
しどろもどろだ。花はもう、自分でも何を言っているのかわからなくなり、顔を真っ赤にしながら俯くと、お腹の前でギュッと拳を握りしめた。
「多分……八雲さんには傘姫様みたいに、綺麗で可愛らしい女性が合っているのだと、おふたりを見て改めて思いました……」
そもそも自分が八雲の嫁になるなど、役不足もいいところだったのだ。
そう考えると八雲が自分を邪険に扱うのも頷けると、花は肩を落とさずにはいられなかった。
「だから私が嫁だなんて勘違いは、八雲さんからすると迷惑なことに他なりません……」
「あら……どうして、そんなに悲しいことを仰るの。私には、八雲さんとあなたのほうが、とてもお似合いのふたりに見えるのに」
「そ、そんなこと……」
滅相もない。わかりやすいお世辞だと花は首を横に振ったが、傘姫は柔らかな笑みを浮かべながら、改めて花の様子を窺った。
「真っ当な恋路をゆくものからすれば、自分たちが他者からどう見えるのかというのは、取るに足らないことでしょう?」
「そ、それは……」
「ふふっ。でも、些細なことで不安になるのは恋の習わしですものね。けれどどうか、ご心配なさらないで。特に私には八雲さんとは別に、生涯変わらぬ愛を誓った殿方がおりますゆえ、そのお方以外に私が恋心を抱くことはございませぬ」
「え……」
傘姫の言葉に、花は思わず目を見張った。
傘姫には既に生涯変わらぬ愛を誓った相手がいる──とは、つまり言葉の通り、傘姫には八雲ではなく別に想い人がいるということだ。



