(きっと、私が相手じゃ、他の人からは絶対にあんなふうには見えない……)
まさか、ここでこんなにも惨めな気持ちになるとは夢にも思っていなかった。
何より今、こんなふうに惨めな気持ちになっている自分にも、花は戸惑いを隠せない。
どうして自分は、傘姫に対して劣等感のようなものを抱いているのだろう。そもそも花は別に八雲に想いを寄せているわけでもないのだから、似合いのふたりを見て落ち込む理由はないはずだった。
「……もしかして、あなたは八雲さんのお嫁様になるお方?」
「え……」
と、気落ちしている花に、傘姫がそっと声をかけた。
弾かれたように顔を上げた花はすぐに質問の内容を理解すると、思わずカッと顔を赤くして、慌てて首を横に振った。
「い、いえ……っ。私はその……八雲さんのお嫁さんというより、ただの嫁候補に過ぎないというか! そ、その……」
段々と語尾が小さくなる。誰が見ても自分よりも八雲に似合いの女性を前に、「はい! 自分が彼の嫁候補です!」などと胸を張れるほど、花の心臓に毛は生えていなかった。
「あら……そうなのですね。でも、あの八雲さんがお嫁様の候補にするお方ですもの。あなたはきっと、他の誰より光り輝く何かを持っている、素敵な女性に違いないです」
けれど傘姫は、そんな花に対して迷いのない声で進言すると、蕾が開くように微笑んだ。
「それに、あなたはとても可愛らしい人よ。きっと、八雲さんもそう思っているはずです」
思いもよらない傘姫の言葉に、花はまたカッと顔を赤くした。
「ま、まさか! 八雲さんが、そんなふうに思ってくれているはずないです……!」
鬱陶しいとかウザイとか、面倒くさいなどとは思われているだろうが、可愛らしいなど天に誓って思われていないと言い切れる。



