それから塾の日など四人が揃う日を利用し、私たちは当日の詳細をひとつひとつ決めていく。

週末に楽しみが待っているというだけで、普段は億劫でやる気の出ない自主勉強にも身が入るんだから、不思議だ。

そしてとうとう花火大会当日がやってきた。

昨日の段階では曇りのち雨の予報で少しハラハラしていたが、どうやら上手く晴れてくれたみたいでホッと胸をなでおろす。

集合時間は十九時、場所は夏祭り会場の駐輪場の隅っこにした。

私の地元で開かれる催しだから、自宅から自転車で十分くらい走れば会場には簡単に辿り着けた。

十五分ほど早めに集合場所に到着した私は、スマートフォンを手に持ちあかりたちからの連絡を待つ。あかりが柊斗と悠真くんを駅で待って、合流してからここへ来るようになっているから、三人揃って姿を現すはず。

──ブブッ。

数分後、スマホにあかりからのメッセージが届いた。私はその場でメッセージを開き、確認する。

《今みんなを連れて到着したんだけど、凪どこにいる?探してるけど見つけられなくて》

もう到着したという文言を見た私は、俯けていた顔を上げ、辺りをキョロキョロと見渡す。人が多く、まただいぶ日が落ち薄暗くなってきた中で特定の人を探すのは、確かに大変だ。

けれど視力はいい方だから、よく見れば必ず見つけられるはず。そう思い、よく目を凝らしあかりたちらしき人物を探す。

「……あ、いた」

十メートルほど離れた先に、あかりと悠真くん、そして柊斗と思しき人影を発見した私は、できるだけ分かりやすく手を振り、大きな声で彼女たちの名前を呼ぶ。

必死に合図を送る私に気が付いたのか、こちらを向き手を振り返すあかりたち。

「ごめん凪、ちょっと人が多いし薄暗いしでよく分からなかった。結構待った?」

駆け寄ってきたあかりは申し訳なさそうに眉を下げると、顔の前で掌同士を合わせた。そんなあかりに、「いいよいいよ、そんなに待ってないし」と笑いながら言葉を返せば、ホッとしたようにあかりも少しだけ口元を緩めてくれた。

「よっ、凪ちゃん」
「凪、お待たせ」

あかりと話していると、彼女の後ろから悠真くんと柊斗がひょこっと顔を現す。私はふたりにも笑顔を向けると、簡単な挨拶を交わした。

……でも、柊斗と目を合わせたとき、自分がなんとなく、どぎまぎと緊張しているのが分かる。悠真くんにはそうならないのに。

この理由には、少し前から気付いていた。