あかりに、ずっと感じ続けてきた思い。それら全てを、私自身もまるごと受け止めて、一歩前に進むために。

「今までもたくさん助けてもらったけど。きっと、これからもお世話になると思う。でも私、頑張るから。ちゃんと自分の思いを、胸を張って伝えられるように。だからね、あかり」

出会った頃から、その優しさに何度も救われてきた。あかりの笑顔は、まるで、この地上に差し込み木の葉を芽吹かせる太陽のようで、私は幾度となくその太陽の光に照らされてきた。

私はこれからも、そんなあかりと一緒にいたいと思う。

「私の〝親友〟になってくれないかな」

あの日、あかりは『私は確かに友達は多い方かもしれない。でも、私にとっての〝親友〟は凪しかいなかった』と言ってくれたけれど。どうやら私は少し、それに気がつくのが遅かったみたいだね。……ごめんね、あかり。だから、改めてあかりにそれを伝えたかったんだ。

私にとっての親友は、あかりしかいないと、やっと思うことができたから。

「……凪のバカ」

今この瞬間に感じた本音を告げた時、再びあかりの声が掠れた。彼女の頰を伝う大粒の涙は、また私の涙を誘う。

「当たり前じゃない。私の親友は、ずーっと凪なんだからね。凪は、我儘なくらいがちょうどいいんだよ」

そう言って笑顔を見せたあかり。私も同じように、唇を噛み締めて笑う。なんて幸せなんだろう。

ずっと、自分を偽ったままズルズルと毎日を過ごすんだとばかり思っていた。自分を変えるために一歩踏み出すのが、怖かった。けれど、こうしてその先を手に入れてみれば、そこには見たこともないような輝いた世界が広がっている。

「あかり、ありがとう」

思わず口から放たれたのは、大切なあかりへの感謝の言葉。

太陽が照らすこの公園。いつのまにか太陽は高い彼方へ昇り、木陰が少しずつ日向になりかけている。そこから伸びる、二本の影法師。仲良く寄り添っている二つの影は、私たちのこれからの未来を表しているような、そんな気がした。

それから私たちは、この空白の二週間を埋めるように色々な話に花を咲かせた。そして十一時を過ぎた頃、そろそろ自宅へ戻ろうということで私たちはさよならをし、それぞれの家路を辿る。

自宅へ帰ってからはすぐに柊斗に、あかりと仲直りができたという内容を入れたメッセージを送った。彼からの返信はすぐにきて、どうやら柊斗はかなり喜んでくれているようだ。

今日こうしてあかりと向き合うことができたのも、昨日柊斗が海に連れ出してくれて、優しい言葉をたくさんかけてくれたおかげ。電話をかけるのも申し訳ないし、メッセージで改めてありがとうと感謝を伝える。そしたら柊斗は、本当に嬉しいと、でも凪の頑張りがあってこそだよと、また優しい言葉をくれた。

そのメッセージを送信する裏側で、満面の笑みを浮かべている柊斗が安易に想像できて。私はふっと頰を緩めると、お母さんの昼食の支度を手伝おうとリビングに駆け足で降りていった。