お母さんは蓮の言葉を聞いてたまらなくなったのだろう、蓮の小さな身体をきつくきつく抱きしめる。私の隣にいたお父さんも、素直に嬉しかったのか、目にうっすらと涙を浮かべている。

思えば、いつもそうだった。

蓮はとても真っ直ぐで、その視線には何の迷いもなくて、ただ一生懸命で。その純粋な瞳は、常に私たち家族を見つめていた。……私を、見ていた。

「みんなでこうして一緒にいると、やっぱりすごく楽しいね」

声を弾ませて、私たちを交互に見上げた蓮は、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

その笑顔があまりにも眩しくて、そして愛おしくて。私はゆっくりとまぶたを伏せると、すうっと大きく息を吸った。

そしてもう一度、窓から覗く空を見上げる。

暗闇の中にちらちらと光る幾千の輝き。ひとつひとつが眩い光を放つ無数の星々は、私に見えない力をくれる。そしてその煌めきこそが、確かに私の勇気に変わる。

何度か深呼吸を繰り返し後、顔を横に向け、視線を隣にいた弟に移した。そして、小さなその掌を優しく包むように握る。

「……蓮、お姉ちゃんね。蓮のことが、とーっても大好きだよ」

私は、蓮の姉に生まれてくることができてよかったと思う。こんなにも素直で心優しい私の弟は、きっと世界一だ。

「私の大切な弟でいてくれて、ありがとう」

心からの感謝を込めた噓偽りのない私の本音を聞いて、蓮が屈託のない顔で笑う。その表情は少し照れくさそうで、でもとても嬉しそう。

ふと横を見れば、お父さんとお母さんも幸せそうに頰を緩めていて。

家族の笑顔を見ていると、やっと自分はもう一つ成長することができたんだと実感するとともに、限りなく大きな幸せを私ももらったような、そんな気がしたんだ。