「……私の、家族こと」
「家族……?」

思い切って打ち明けた私の一言に、柊斗はさらに不思議そうな表情を浮かべる。私には弟がいて、その弟は喘息を持っている、だとかいう簡単な話はしたことがあったけれど、まさか私が家族に関して悩んでいるとは思ってもみなかったのだろう。柊斗は真剣な目で私のことを見据えていた。

少しずつ、昨夜気付いたことや感じたことを言葉にしていく私。あかりに告げたときと同じように順を追って話していく私の話を、柊斗はただジッと耳を傾けて聞いてくれる。その様子を見てなぜか安心した私は、ゆっくりではあったが、次々に言葉を紡ぐことができた。

「……凪は」

そして、全てを話し終えた後。今まで黙っていた柊斗が、静かに口を開く。

「凪は、気付いたんだね。自分ですら忘れていた、本当の事実に」
「うん。今はもう、あかりや柊斗、悠真くんのおかげで少しずつ前に進めているけど。今回家族と向き合うことができたら、もっと自分が成長できるんじゃないかって思うから。ちゃんとお母さんやお父さんに、あの日の出来事と、たまに抱えていた寂しさと。それら全てを、伝えたい。そして、大切な蓮に会いに行きたいんだ」

柊斗に話しているうちに、私の中で決めていた覚悟がさらに強まっていく。

その私の決意を柊斗がどんな風に聞いていたかは分からないけれど、柊斗はやんわりと頰を緩めて微笑んでくれた。きっとそれが、柊斗の答え。