「妥当な判断だわな」
この大家今に訴えてやる、なんて考えて呼んだ弁護士のチョイスをも誤った。
「何ですって?」
「有能な人間失うより死んでも構わないような奴無くす方がお互い、円満じゃねーか」
「それさあ侮辱罪とかに入るんじゃないの?」
それにしても呼ばれてすぐ来るようじゃ相当君も暇なのねなんて言ったら、上から蛇の目で睨まれた。
「しっかしまぁやっこさん立派な無賃住宅構えちゃいましたね」
蜂に損害賠償は請求出来ないんですか?
そう言うツナギ姿の青二才は、オペラグラスをぱくんと閉じてトラックの荷台から軽やかな身のこなしで飛び降りた。
そして俗に言うイケメンの顔をニコリともせずにぱき、と凝り固まった首を鳴らす。
「こういうのって多分専門業者か自治体に言うのが一番だと思うんスけど違います?」
「多分そうだよね。だから櫨山さん今窓口に相談しに行っちゃったのよ」
「いや、業者が優先だろ」
「奇遇。それ俺も思った」
まだ自治体のが金とかシビアな問題で楽だからじゃない?
と伊野が小首を傾げるのと、遠巻きから駆けてきたニコルが、横から勢いよく飛び付いてくるのはほぼ同時だった。
「おー、おはよーさん」
「居なくなったかと、思った」
「朝から不細工見ちゃった…」
うげえと舌を出す曰比谷、
すかさずその頭をスパァン、と殴る渥美。
「けどねぇニコル今から俺たち結構危険なマネをするので家に入っといた方がいいよ」
「キケン?」
「蜂退治ですよー」