平日、午前10時すぎ。
この時間帯に家にいてゴロゴロしている人間
それは世間で特例の出勤時刻や事情がない限り、
・フリーター
・ニート
・引きこもり
・失業者
が大半を占める。
そして、
「…、 、 っ」
人間失格 伊野雄介26歳は、そのどれにも当てはまる
「…ん~うるさい…寝かせてよ用事無いんだからさあ」
ゆさゆさと体を揺さぶる金髪少女。
ニコルは、六畳一間の隅に敷かれた敷布団の上で薄着で背中をボリボリと掻く人間失格にぺい、と引き剥がされた。
「……ユースケ、いくない」
出会った当初はほぼ喋らなかったニコルも、同居生活一週間を経て1日に3言くらいは発言するようになった。
加え、なんか知らないがユースケ呼びになった。
「…あと5分」
べしん
「いたあ」
ニコル、頬を膨らませて構ってくれポーズ。
もう朝の8時くらいからずっとこんなことを繰り返している。
伊野は仕方なく諦めて布団をたたみ押し入れに収納すると、部屋に舞う埃を逃がすべく窓を開けた。
遠くで電車の通る音。
町の活動音が聴こえる。
いつもの白ゆるトップスに黒スウェットの伊野はそのまま着替えることもせず、六畳一間の中心に座り込んだ。
「問題がある」
「…」
「出費が激しい」
最近、まじで思うこと。
ニコルが来てからと言うものTVが来たり使ってはいないもののエアコンを勝手に起動られたり
無ければ使わないTVなんかもあればニュース速報程度も見てしまうため
今まで塩パン砂糖パン牛乳たまに白米で過ごしてきた伊野にとっては
そこそこの出費が重なっていた。