「いや、大丈夫だ。和歌に聞きたいことがあるんだ。立ち話はなんだから、あそこに行こう」
芹沢が指を指したのは、天沢さんの喫茶店でなく、普通の喫茶店を見つけて入った。
「ここは、喫茶店が多いね。天沢さんのとこもだし、海喫茶店もそうだし」
私は芹沢と向かい合う形で、テーブル席に座った。いつもの芹沢は、私のこといじってくるし、言い方キツイし、私に対しての態度はみんなと違っていた。
だけど、あの話を聞いた時から、芹沢は仕事以外では前よりは優しくなった。
「和歌は何頼む?」
芹沢は私に何を飲むのかメニュー表を見ながら、私に聞いてくる。
「……じゃあ、紅茶で」
私もメニュー表を持ち、頼みたいものを芹沢に言う。
「よし。俺はコーヒーでも飲もう」
芹沢はポチッとボタンを押して、店員を呼んだ。押した後、店員が来て、おまたせしました。ご注文はと聞いてきたので、芹沢は淡々としたように店員に言う。
「紅茶とコーヒー、ひとつ」
「承知しました。紅茶とコーヒーひとつ承りました」
店員がそう言って去ると、芹沢はメニュー表を端っこに置いた。
「…今は、死にたいとか思ってるのか」
芹沢の質問に私は驚いた。冷たくて何を考えているのか分からない。
前まで私はそんな質問しても、答えなかったけど、今は答えたい。
「……今そんなに思わなくなった。けど、家に帰ると、私の存在はいらないんじゃないかって思えてくるよ」
私は悲しげな表情で、芹沢に言う。
「そうか」
芹沢は淡々と私の質問に頷くだけであった。