私は歩きながらきょろきょろと辺りを見渡す。
 せっかく大きなショッピングモールに来たので、今日、侑希にクリスマスプレゼントのお返しを買えたらいいなと思ったのだ。しばらく歩いているとお財布や小物入れを扱うお店を見つけ、中に入った。端から順番に手に取ってみたが、やっぱり何がいいかわからない。そうこうするうちに、店員さんが寄ってきた。

「彼氏さんにプレゼントですか?」
「え? 違いますっ」

 明らかに男子向けの商品を熱心に見る私を見て、勘違いしたようだ。私はぶんぶんと手を振ると、なんとなく気恥ずかしくなってしまい店を後にする。
 彼氏なんていたことがないけれど、みんな誕生日やクリスマスのプレゼントを選ぶときはこんなやり取りを乗り越えて(?)プレゼントを購入するのだろうか。私にはだいぶハードルが高い。

 お母さんに頼んで、ネットで買おうかな……。
 そんな妥協案が脳裏を過る。
 とりあえず、今の店で買うのは無理だ。なんとなく、気恥ずかしすぎる。

 そのままショッピングモール内を歩いていると、キッチン用品屋さんを見つけた。
 おしゃれなキッチン用品が揃っているそのお店では、お正月用の重箱や祝い箸などと共に、早くもバレンタイン向けの商品が出始めていた。なんとなく店に入り、ピンク色の箱や、ハートの形をしたケーキ型、製菓用チョコレートなどを眺めてゆく。
 一月七日までは期間限定で全商品三〇パーセントオフとなっていて、だいぶお得だ。せっかくだから、クッキング部で作ってみたい。

 いくつか商品を籠に入れていると、水筒のコーナーが目に入った。保温機能付きの軽量水筒も三〇パーセントオフ。そう言えば、年末に侑希が水筒の口が壊れたとぼやいていたことを思い出す。

「これにしようかな」

 手に取った黒色を基調とする五〇〇ミリリットル入りの保温機能付き軽量水筒は、セール価格で二千円ちょっとだった。毛糸の手袋のお返しとしては、値段的にもちょうどいい気がする。

喜んでくれるといいな。

 商品を籠に入れ、私は口元を綻ばせた。

 ◆ ◆ ◆

 今朝二回目の目覚まし時計を止めた俺は、深いため息をついた。時刻は六時五〇分。そろそろ起きて行く準備をしないと本当に遅刻してしまう。

 何年か前から、この日が嫌いだ。