「うん、そう。学園祭があるって言ったら、来るって言ってさ。賑やかなやつらだろ?」
侑希は楽しそうに笑う。
私はテーブルに向かって座り、学園祭のパンフレットを見ながら盛り上がっているグループを見た。
男の子が三人と女の子が三人、頭を寄せ合っている。きっと、この後どこに行くのかを相談しているのだろう。
侑希は用意されたサンドイッチを受け取ると、それを注文したテーブルに運んでゆく。それが終わると先ほどの友人グループの一人に呼ばれたようで、またそちらに向かう。一人の女子の前で立ち止まると、かがんで横にしゃがみ込む。それを、正面の別の友人が写真に撮っていた。
「雫ちゃんと美紀ちゃん、そろそろ交代時間だよ」
エプロンと三角巾をつけたクラスメイトが、調理場に現れる。時計を見ると、いつの間にか時計は十二時半を指していた。
「あ、本当だ。今さっき注文が一気に入ったから、それが終わったら抜けるね」
ぼうっとしてしまった。私が言い終わるか否かというタイミングで、稼働中だった電子レンジがチーンとなる。素早く扉を開けると、中身を取り出そうと私は手を伸ばした。
「熱っ!」
素手で電子レンジ内の温めに使うお皿に触れてしまい、慌てて手を引く。急いでいて、ミトンをつけるのをすっかりと忘れていた。繰り返し使っているせいか、少し触れただけのレンジ対応耐熱皿は、びっくりするくらい熱くなっていた。
「できた? 次入れていい?」
別の作業をしていた美紀ちゃんがこちらを振り返る。私は慌ててその指を片方の手で隠すと、「うん、できたよ」と答えた。
火傷しちゃったかな……。
指先がじんじんと痛い。
今度はミトンをつけて取り出したオムライスをお皿に盛りつけながら確認すると、耐熱皿に触れた右手の人差し指が赤くなっていた。
「オムライスできましたー」
紙皿に移し替えたそれを、火傷した指を庇うように中指と親指で摑むと、配膳のためにこちらに戻ってきた侑希に差し出した。
痛いけれど、直接なにかに触れなければ我慢できる痛さ。うん、なんとか頑張れそう。
「残りのオムライスもでまーす」
残り五個のオムライスも、笑顔で出し切った。
エプロンと三角巾を外し、それを畳みながらふうっと息をはく。
侑希は楽しそうに笑う。
私はテーブルに向かって座り、学園祭のパンフレットを見ながら盛り上がっているグループを見た。
男の子が三人と女の子が三人、頭を寄せ合っている。きっと、この後どこに行くのかを相談しているのだろう。
侑希は用意されたサンドイッチを受け取ると、それを注文したテーブルに運んでゆく。それが終わると先ほどの友人グループの一人に呼ばれたようで、またそちらに向かう。一人の女子の前で立ち止まると、かがんで横にしゃがみ込む。それを、正面の別の友人が写真に撮っていた。
「雫ちゃんと美紀ちゃん、そろそろ交代時間だよ」
エプロンと三角巾をつけたクラスメイトが、調理場に現れる。時計を見ると、いつの間にか時計は十二時半を指していた。
「あ、本当だ。今さっき注文が一気に入ったから、それが終わったら抜けるね」
ぼうっとしてしまった。私が言い終わるか否かというタイミングで、稼働中だった電子レンジがチーンとなる。素早く扉を開けると、中身を取り出そうと私は手を伸ばした。
「熱っ!」
素手で電子レンジ内の温めに使うお皿に触れてしまい、慌てて手を引く。急いでいて、ミトンをつけるのをすっかりと忘れていた。繰り返し使っているせいか、少し触れただけのレンジ対応耐熱皿は、びっくりするくらい熱くなっていた。
「できた? 次入れていい?」
別の作業をしていた美紀ちゃんがこちらを振り返る。私は慌ててその指を片方の手で隠すと、「うん、できたよ」と答えた。
火傷しちゃったかな……。
指先がじんじんと痛い。
今度はミトンをつけて取り出したオムライスをお皿に盛りつけながら確認すると、耐熱皿に触れた右手の人差し指が赤くなっていた。
「オムライスできましたー」
紙皿に移し替えたそれを、火傷した指を庇うように中指と親指で摑むと、配膳のためにこちらに戻ってきた侑希に差し出した。
痛いけれど、直接なにかに触れなければ我慢できる痛さ。うん、なんとか頑張れそう。
「残りのオムライスもでまーす」
残り五個のオムライスも、笑顔で出し切った。
エプロンと三角巾を外し、それを畳みながらふうっと息をはく。