カップルで回りたいと言っている友人に誘われて、のこのこと付いていくほど無粋ではないつもりだ。夏帆ちゃんは私がクッキング部の子と回ると言うのを聞いて、ホッと安堵の表情を浮かべた。
「もし一人になっちゃいそうだったら、私、聡の誘いを断るから言ってね。雫ちゃんが先約だもん」
「平気だよ」
夏帆ちゃんを安心させるように、にかっと笑う。
さて、誰を誘おうかな……。
とりあえず、クッキング部の友達に後で声をかけようかな。後はクラスメイトの美紀ちゃんか、優衣ちゃんか。
私はそんなふうに簡単に考えていた自分の考えの甘さに、数時間後には打ちのめされた。
「ごめんね。その時間、中央ホールで演奏会があって……」
「ううん。大丈夫!」
申し訳なさそうに眉尻を下げる友人に、私は慌てて手を振る。
三人目に声を掛けた美紀ちゃんも、予定があった。吹奏楽部のミニコンサートが校舎の中央にある吹き抜けのホールであるそうだ。演奏自体は二〇分で終わるが、その前後にリハーサルや反省会で時間を取られてしまうらしい。
今のところ、声をかける人全員に断られている。
うーん。一人で回るかなぁ。
日曜日の午前中はクラスの出し物で予定があるけれど、午後はクッキング部の出店の片づけをする四時まで、ほぼ丸々空いている。
よくよく考えれば、当日の二日前になっても用事もないのに一緒に回る人がいない生徒など、ほとんどいないだろう。なんなら、料理係のリーダーとして調理補佐に入ってしまおうか。
「雫ちゃん。買い出しそろそろだけど、行ける?」
うーむと悩んでいると、一年B組のさくら祭クラス委員を務めている飯田由紀がこちらへとやってきた。
本番が明後日なので、これから必要なものの買い出しに行くのだ。前日にしないのは、万が一買いに行ったお店で売り切れていた場合に他のお店に買いに行く時間的余裕を確保するため。
「行けるよ」
「よかった。二時にエントランス付近に集合して出発するから、一緒に行こう」
「うん、すぐ行く」
机に広げていたノートを閉じると、それを鞄にしまう。腕時計を見るとあと五分位しかない。慌てて廊下に出てエントランスへと向かうと、そこには既に何人かの同級生たちが集まっていた。
「原田さん、こっちだよ」
「もし一人になっちゃいそうだったら、私、聡の誘いを断るから言ってね。雫ちゃんが先約だもん」
「平気だよ」
夏帆ちゃんを安心させるように、にかっと笑う。
さて、誰を誘おうかな……。
とりあえず、クッキング部の友達に後で声をかけようかな。後はクラスメイトの美紀ちゃんか、優衣ちゃんか。
私はそんなふうに簡単に考えていた自分の考えの甘さに、数時間後には打ちのめされた。
「ごめんね。その時間、中央ホールで演奏会があって……」
「ううん。大丈夫!」
申し訳なさそうに眉尻を下げる友人に、私は慌てて手を振る。
三人目に声を掛けた美紀ちゃんも、予定があった。吹奏楽部のミニコンサートが校舎の中央にある吹き抜けのホールであるそうだ。演奏自体は二〇分で終わるが、その前後にリハーサルや反省会で時間を取られてしまうらしい。
今のところ、声をかける人全員に断られている。
うーん。一人で回るかなぁ。
日曜日の午前中はクラスの出し物で予定があるけれど、午後はクッキング部の出店の片づけをする四時まで、ほぼ丸々空いている。
よくよく考えれば、当日の二日前になっても用事もないのに一緒に回る人がいない生徒など、ほとんどいないだろう。なんなら、料理係のリーダーとして調理補佐に入ってしまおうか。
「雫ちゃん。買い出しそろそろだけど、行ける?」
うーむと悩んでいると、一年B組のさくら祭クラス委員を務めている飯田由紀がこちらへとやってきた。
本番が明後日なので、これから必要なものの買い出しに行くのだ。前日にしないのは、万が一買いに行ったお店で売り切れていた場合に他のお店に買いに行く時間的余裕を確保するため。
「行けるよ」
「よかった。二時にエントランス付近に集合して出発するから、一緒に行こう」
「うん、すぐ行く」
机に広げていたノートを閉じると、それを鞄にしまう。腕時計を見るとあと五分位しかない。慌てて廊下に出てエントランスへと向かうと、そこには既に何人かの同級生たちが集まっていた。
「原田さん、こっちだよ」