急ぐ人々の波をかき分けて改札を抜けると、私たちは上りホームへ向かった。
「チアの練習大変なんだ?」
「うん、大会が決まったから練習もさらに増えそう。また朝練も始まるし……」
「そうなんだ……」
電車到着のアナウンスに続くように、ホームに入ってきた電車の巻き起こす風に、エー子のボブヘアがなびいた。
「……ごめんね……。朝、一緒に学校行けなくなっちゃって……」
そう言ったエー子の目は、少し悲しく見えた。
「何、謝んのー!? 気にしないで」
「うん……ありがと」
同い年で小学校からの大の仲良しのエー子。
家はそんなに近いとは言えないのに最寄駅が一緒で、高校も一緒になれて、とにかくいつも一緒だった。
秋山 葵、イニシャルA・Aだからエー子。
チアリーディング部に入っているエー子は、日々練習で忙しい。
サッパリした性格と、明るい笑顔がいつも私を元気にしてくれる。
そこらへんは、さすがチアリーディング部って思ってしまう。
チア部は、元気な掛け声と常に笑顔が鉄則だもんね。