「夏場なんか人がもっと増えるけど、それでもこの展望台は人も少なくて、星空を見るには最高なんだ」
「うん、こんな場所があったなんてびっくり。先生はよく来るの?」
「よくでもないけど、考え事したい時や、気持ちを一新したいとき、星の勉強をしたい時には来るかな。なんていうかインスピレーションが降りてくるっていうか」
「へー。でもここまでの星空が見れたら、その気持ちわかるな」
私は円状に並んだベンチの周りをぐるっと小走りに回り、360度の夜景を目に焼き付けていった。
本当にキレイ……。
「ここで空を見上げて願い事したら、絶対叶いそう」
「あはは。そうだな」
先生が笑った。
「どこかお店に入るより、ここの方が気持ちが晴れると思って」
「……先生……」
うん……人の多くいるところより、ここの方が心が落ち着く。