私は驚き、ぐるっと見回した。
「こんなところがあったんだー」
展望台の下には、いくつかのベンチとテーブルが置かれ、ライトを持参したのか、数組が食べ物を囲んで宴会をしていた。
とても楽しそうにしている笑い声に、私もつられるように笑顔になった。
そして、木々に囲まれているとはいっても、その隙間から街の明かりが美しく輝いて見えた。
「羽田さん」
再び先生に呼ばれ、夜景に見とれていた私は小走りになる。
人が二人並んで通るのもギリギリなくらい、細い螺旋階段を上がると、そこは街並みを360度見渡せる美しいパノラマが広がっていた。
「うわぁ……」
私はその景色に驚き、手すりにへばりついた。
急な坂道と螺旋階段を、息切れしながら上って来たかいがあった。
「すごい……」
街の灯りときらめく星空に目を奪われた。
「今日は空気が澄んでいるから、遠くまで見えるな」
隣に並んだ先生が言った。
「ここはさ、案外人も多く来るんだけど、この展望台よりも下のテーブルで夜景を見ながら飲み食いする方が人気なんだよ」
先生が言うように、下の方からはにぎやかな声が響いていた。