「行こう」
「え……」
たった今、駅に入ってきた電車に、私たちは飛び乗った。
電車で3分、隣の星ノ山公園駅に着いた。
名前だけは知っているその駅で降りると、真っすぐ出口へ向かう。
「先生どこに行くの?」
「星ノ山公園」
星ノ山公園……近い割に一度も来たことがなかった。
駅前のおしゃれな街灯に目を惹かれながら、人の多くいる駅前を離れ、ぐいぐいと歩いて行く先生を追いかける。
駅を出るとおしゃれな外国の建物を彷彿させるような住宅が並び、そのせいもあってか、駅前は人でにぎわっていた。
住宅街を過ぎ、緑の多い場所に出た。
その敷地内に車は入れないようパイプのガードが立てられ、公園内を案内する地図が描かれていた。
ずっと奥へ行くとバーベキューが出来る場所があるらしい。
「羽田さん」
あまりにも広い敷地内の地図に見入っていると、先生に呼ばれ振り向いた。
その地図が示す場所とは違う細い道へ先生は進んで行った。
舗装はされてはいるものの、暗い道にはちょっと怖さを感じてしまうようなそんな場所へ、さらにぐいぐいと入って行く。
曲がりくねる坂道を行くと、突然目の前が開け、緑に囲まれるようにそびえ建つ展望台が見えた。