梅雨入り間近でどんよりしていた空も、放課後には綺麗に晴れて、部活に勤しむ生徒たちがバタバタと教室を後にする。
「あー美月、居た居たー!」
その大声に振り向くと、部活に行こうとしていたのかジャージ姿のエー子が教室に飛び込んで来た。
なんとなく体のダルさを感じ、今日は真っすぐ帰ろ……そう思っていた時のことだった。
「ねー美月、ちょっと先だけど、夏休み短期のバイト一緒にしない?」
「バイト?」
「うん!」
ニコニコと笑顔で言うエー子。
「……エー子、部活忙しいじゃんよ……」
「休みはあるよー」
「……」
バイトか……今の私に出来るのかな……。
「……少し考えさせて」
「そっか……うん、わかった」
「羽田ー! 金田先生が呼んでたぞー」
「金田先生? またぁ?」
エー子がウンザリとした声を出す。
教室の扉から顔を覗かせた誰かの言葉で、私はまたガッカリとした気持ちになった。