二階の自分の部屋に戻ると、私は人一人が立つことが出来るくらいの狭いベランダに出た。

夜までキレイに晴れた今日は遠くの星までよく見える。

見上げた星空に手を伸ばし、星を数える。


「いち、に、さん……あれが北斗七星か……」

昔は空を見上げることも、星空を見て星を探すなんてこともなかったなぁ……。

こんなに星が綺麗に見えたら葉山先生も今頃空を見てるかな……。

キュッと手を重ねた。


「葉山先生と、もっとたくさん話ができますように」


今まで何かに誰かのことを願うことなんてなかった。

都合よく願い事なんてしちゃって神様も怒るかな。

梅雨入り前のさわやかな夜風に吹かれ、私は心から願いを込めて、そっと目を瞑った。