「紅茶入ったわよー。お父さんはコーヒーね」

家族が揃う嬉しそうなお母さんの声。

ここまでに戻るまで、ずいぶんの時間がかかったように思う。

たぶん、お父さんが支えてくれなければ、お母さんの方が病気になっていたんじゃないかと思ったくらい。

優しくて穏やかで……それに加えとっても繊細すぎる母。

入院中、絶望感しかなかった私、頑張って笑顔を見せるお母さんも、日に日に弱っていくその姿を見て『私がこんなんじゃいけない』と思った。


「で? 美月、どんないいことがあったの?」

「は!? ごほっ……どんないいことって……何もないよ。むしろ……」

突然お母さんに話を振られ咳こみ、私は急いで紅茶を飲んだ。

「むしろ?」

「……」

学校であったことを話そうと思っても、いつも愚痴になってしまいそうで、私は今日あったことを話せずにいた。

「ううん、むしろ何もなさ過ぎて驚く」

「えー、そうなのぉ?」

残念そうに言うお母さんの、かわいらしい顔さえ私は分からなくて……。

何かあっても、私の障害のことで二人を悩ませたくないと思ってしまうんだ。