目の前にいる家族の顔がわからない……。 17年、毎日見てきた両親の顔がわからない……。 そう言った時、崩れるように泣いたお母さんの姿。 一瞬にして病室が絶望感に包まれた。 相貌失認が正式な診断名として使われないのは、相貌失認を根本的に治療する方法が見つかっていないからだという。 治ることはない……私はずっと人の顔を認識することが出来ず生きていかなければいけない……。 そこには、ただ恐怖しかなかった。