「何かいいことあった?」

「えっ」

突然、洗面所に顔を覗かせ、お母さんが言った。

「いいこと? そんなのないよ……なんで?」

「だってニヤニヤしてる」

「は!?」

ニヤニヤ!?

エー子にも同じことを言われたことを思い出し、ビックリして顔を両手で抑えた。

二人に言われたってことは、そんなにいつもニヤニヤした顔をしているのかと自分の顔が心配になり、洗面所の鏡を覗き込んだ。


「ぷっ、早く着替えてらっしゃい。ご飯にするわよー」

「……はーい」

クスクスと笑いながら去っていく後ろ姿がちょっとムカついたりする。