動き出した電車。

先生を見つめ、そっと手を振った。

気付いてくれなくても、いい。


その時、つり革に摑まっていた先生の手が離れ、こちらに向かって振られた。


「先生……」

嬉しくて……。

嬉しくて――――。


先生と近づくたび、今まで感じたことのない気持ちになる。

心の奥の何かが溢れてしまいそうな……。

人を好きになると、みんなこんな感じなのかな……。