「泣くなよ」

そう言いながら、ハンカチを私に差し出す。

フワッとライムの香り。

先生の香水の香りがする。


「ありがと……」

私の言葉に、先生がポンと頭を叩く。


「きゃっ!」


「いてっ!」


また、いつものようにビリッと走る痛み。


「いたーい」

私は頭を抱えた。


「ごめん! なんだこれ、いつもいつも、静電気か!?」

先生も慌て出す。


「……」


「……」


ぷっ……。

私と先生は同時に吹き出した。


「泣くのか笑うのか、はっきりしろー」

「だってー」


なんだか嬉しくて、涙をボロボロと流しながら、笑った。

こんなにホッとしたことなんて今までなかった。

先生の言葉に、こんなに癒されるなんて……。

先生に話してよかった……。