「……がっかり……した?」
「え?」
驚くように先生が私を見た。
「……今ここで先生と別れたら、次に会う時は……ううん、何分後かには、もう先生の顔は思い出せなくなっている。……笑っちゃうよね、こんなの……。誰もこんなこと理解出来るわけない……」
「笑うな」
え……。
今まで優しく微笑んでいた先生の横顔が、突然険しくなった。
「……確かに共感は出来ない。でも、その話を聞いて理解しようと思えない奴は放っておけばいい」
「……先生……」
「それで何か言ってくる奴に『私は失礼なことをしてしまった』なんて思わなくていい」
先生――――。
「……ん……」
私は大きくうなずいた。
そんなふうに言われるなんて思わなかった。
嬉しくて、嬉しくて……涙が落ちた。
「……うん……うん……」
泣きながら、何度もうなずいた。