「星座……先生、星好きなの?」
その本はいつも先生が必ず持っている本だった。
「そうだね、星は好きかな。理科の教師だし、専門が地学だから。羽田さんは?」
「え? 星?」
「うん」
「サッパリ。見るのは好きだけど、何がなんの星とかサッパリわからない」
ぷっ……と先生がまた吹き出す。
「なんだか今までの印象と違うな」
「私の? 今までの印象?」
「いつもうつむいて、友達の後ろに隠れてしまう」
「あ……」
「案外サッパリ、キッパリ言うんだね」
「……」
私はうつむいた。
「本当は……こっちが本物」
「え?」
私は顔を上げると、先生の目を真っ直ぐ見つめた。
「好きなものは好き。嫌なものは嫌。無駄なことなしたくないし、面倒くさいのも嫌。日々楽しく過ごせればいい。そんなワガママな性格が本当の私」
「本当の私?」
「……」
ペットボトルのコーヒーを一口飲む。
そんな自分のことを告白して先生がどう思ったのか……緊張から手が少し震えていた。
「……いいんじゃない、それで」
「え?」
「話したくないことは、誰にでもあるよ」
「先生……」
私のことを知ったら、先生はどう思う?
アイツみたいに、私の前から去っていくのかな……。