いつ頃からか、同じ夢を何度も見るようになった。
高い塔の上から落ちた時、何かがポキッと折れた気がした。
自分の必要とする何かが無くなっていることに気付いた。
それは昔から探していたもの。
何万年も、何億年も
ずっとずっと探していた。
自分の求めている何か――――。
今まで夢を見ても、覚えていることなんてなかった。
お母さんの大声で目が覚めて、ギリギリに家を出て、いつも同じ時間の電車に飛び乗る。
そんな慌ただしい毎日じゃ見た夢があったことさえ忘れちゃっていた。
それが、いつ頃からか同じ夢を見ていることに気付いた。
いつも、いつも、同じ夢。
高いところから落ちる恐怖が、その夢をはっきり覚えさせられた要因になった。
ずっと、ずっと求めている何か……。
それを私は今も探し続けている。