上り電車に乗り換えようと歩き出した時、いきなり肩を叩かれた。
「!」
私は驚き、思い切り振り返ると、そこには数人の男の人が立っていた。
「羽田 美月ちゃんだよね?」
「ホントだー。美月ちゃんだー」
「え、マジ? 中央学園の?」
いきなり話し出したその言葉を聞き、話し方や声から同い年くらいの学生と分かった。
私服を着ている……大学生か……高校生か……。
恰好だけでは、いまいち年齢までは分からない。
「オレ、美月ちゃんのチア好きだったんだよなー。何度か大会も見に行ったことあるんだよ」
「あーオレも見に行ったなー」
「なんでチア辞めちゃったのー?」
「……」
こちらが話す隙を与えない、このしゃべり方の感じ……。
5人くらいはいるだろうか、いつの間にか囲まれパニックになる。
私は返事も出来ず、その場から去ろうと一歩を踏み出すと、いきなり手を摑まれた。
「!」
「ちょっと、ちょっとー、何で返事してくんないのー?」
みんな同じような恰好で、区別がつかない……どんどん距離を縮めてくることに恐怖を感じた。