「次は中央学園前駅ー中央学園前駅ー。扉が開きます、ご注意ください」

タイミングよく降りる駅のアナウンスが流れた。


「美月、行こう!」

エー子は私に声をかけ、ぐいぐいと扉の前に行くと、開いたドアから一番に電車を降りた。

大きい駅だけあって電車から降りる乗客の数も多く、入れ代わるように人が乗り込むと、電車が動き出す。

大きく巻き起こる電車の風に、私の長い髪が激しくなびいた。

髪を手で押さえるように、私は動き出した電車へ振り返った。

車内はたくさんの人でごった返している。

その中で、片手に持つ本で、それが葉山先生だとわかる。

先生と目が合い、トクンと胸が鳴った。

「……」

その周りには先ほどの女子生徒たちの姿。

モヤモヤと心が乱されるような、そんな気持ち。

今まで経験したことのない、イヤな気持ちだった。