「圭ちゃん、こんな早い時間に学校行ってたんだ」
「……」
圭ちゃん……先生のことを名前で呼ぶその女の子は、他の子とは違い、ひと際明るい髪色のショートボブヘア。
あのミルクティー色の髪、うちの学校じゃ確実に先生から呼び出しを受けてるな……。
「……」
名前を呼ばれた先生は、なぜか返事をせず無視をしている。
「ねぇ、圭ちゃん!」
再び声をかけた、その子に「先生って呼べ!」そうキツめに返していた。
「……」
知り合い……なのかな……。
モヤモヤとした思いが、ふっと湧き上がった。
私は先生とは反対の方へ顔を向け、うつむいた。
「あれ、羽田 美月」
「えっ、ホントだー!」
「初めて見たー」
私はその騒ぎにドキッとし、さらに顔を背けた。
「え、圭ちゃん、今話してたけど知り合いなの?」
その女の子の質問に先生は答えようとしない。
「ちょっと圭ちゃん!」