大きな揺れの後、駅名がアナウンスされるとドアが開いた。

突然の激しい音量に私は驚くと、乗り込んで来たのは数人の女子高生。

その、けたたましい話し声に、私の耳が拒否反応を起こす。


「あれー! 葉山先生じゃん!」

「えー、電車で一緒になるの初めてじゃない? 先生いつもこの車両に乗ってたんだー?」

「うちら電車に乗るの、もっと遅いじゃんよ」

「あ、そっかー。あはは」


賑やかにしゃべり出す女子を見ると、葉山先生の学校、星北高の制服を着ていた。

5人はいる女子が、私はみんな同じに見える。

同じような髪の長さ、同じような髪色、同じようなローファー、学校指定の同じカバン。

そのカバンに付いている小さなぬいぐるみや、バッグチャームの特徴を頭に記憶させる。

人物を見て誰だか分からないから、その他の物で誰だか分かるように記憶しなければというクセが、頭の回路をフル回転させ、私は時々パニックになる。

どっと疲れ、私は手すりに摑まり顔を背けた。

「はぁ……」と小さく息を吐く。


「……大丈夫?」

私に向けられた小さな低い声に、ドキッとする。

先生の声……。

「あ……ありがとうございます」

私は嬉しくて顔を上げた。