「でも、やっぱり……私って試練ばっかりな気がする……」

ガックリとしながら言った言葉に、先生が笑った。


「神様は乗り越えられない試練は与えないっていうよ。きっと二人なら大丈夫だって言われているんだと思う」

「先生……」

二人なら……。


「美月、怖い思いをさせてごめんな。もうこんな目には遭わせないよ」

「先生……」


また涙が溢れ、私は何度も何度もうなずいた。



「ううっ……」

先生の言葉を聞いて、またお母さんが泣きだした。



「もう大丈夫。何かあった時は先生に結婚してもらうから!」

「ぷっ……」


言い切った私の言葉に、先生もお父さんもお母さんも、みんなが笑った。


「お互いに早く骨折治さないとな」

「うん、そうだね」


見上げた窓、うすい青空にカサカサと木の枝が揺れて、冬の風が見えた気がした。

この時、これからどんなことが起こっても、どんな試練が待っていても、もう大丈夫だという思いが強くなっていた。

これからもずっと二人なら、どんなことも乗り越えていける。


ううん……



『乗り越えていけ』



そう言われている気がした――――。