「美月、話したことあっただろ? 美月の血液型はとても珍しい血液型なんだって」
お父さんの言葉にうなずいた。
だからいつも、生徒手帳や財布に血液型の証明書を必ず入れていた。
「……この病院に偶然にも葉山先生がいなかったら……先生が輸血を申し出てくれなければ、美月は……」
お母さんがまた泣きだした。
「お母さん……」
そんな姿を見て、もらい泣きのように涙が溢れた……。
今までのことだけじゃなかった……。
出会ってから色々あったこと、私を守ってくれ、助けてくれたこと、それだけじゃなかった……。
私の命を先生は守ってくれていたんだ……。
今まで感じたことのない気持ちも……。
先生に触れられると、息が止まるような胸の鼓動も……。
体中が覚醒されていくような、血が巡るような感覚も……。
これは、すべて間違いじゃなかったんだ。
「……」
先生とつないだ手から、いつものようなあの静電気のような痺れはもう起こらなくなっていた。
偶然のようなこの出会いも、必然だったと確信できた。