「以前、友達がこの病院に入院していて、お見舞いに来たことがあったんだ。その時、救急で運ばれて来た人がいて……。大変な事故だったらしくて、病院内も大騒ぎだった」
「……まさか、それが私……?」
「そうなんだ。その時突然、輸血が必要だとアナウンスが流れた。A型のRHマイナスの血液が必要だと言われたんだ」
「A型RHマイナス……私の血液型……」
「あぁ」
「美月……」
お父さんが私を呼んだ。
「葉山先生が、美月の命を救ってくれたんだ」
「え……」
私は先生を見つめた。
「オレもA型RHマイナスなんだ」
「!」
「アナウンスを聞いて自分が行かなければって思った。自分がこの人を助けなければって……」
「先生……」
「もちろん、それが美月だったなんてことは、今まで、ご両親に聞くまで知らなかったことだけど……」