先生が私に近づき、「オレ死んでないよ」そう苦笑いしながら言った。

「だって……私を守って……って、お母さんが……」

「美月を守って怪我をしたのって言おうとしたのよ……」

「は……」

まぎらわしっ……。


見ると、先生も右腕にギプスをし首から吊るされていた。

「……」

また涙が溢れた……。


「美月……」

「よかった……よかった……先生がいなくなったら……私……」


先生はぎゅっと私の手を握った。

私はその手をさらに強く握り返した。

嬉しくて、安心して、手が震えているのがわかった。



「運良く電車がギリギリで停まって、それで助かったんだ。まぁ、美月もオレも骨折しちゃったけど……」

先生はそう言うと、また苦笑いした。


「美月が体を張って、あの男を突き飛ばしてくれなかったら、オレは電車に撥ねられていたと思う」


そう聞いてゾッとした……。


「……私のコレ骨折なんだ……」

左足を見ると固定され高く上げられていた。

「……先生を守れるなら、足の一本や二本無くなったって構わないよ」

「ぷっ……美月……ありがとう」

「先生……」


先生はいつも、いつも私を守ってくれて、私も先生を守れるくらい強くなりたいと思った。